徐照 Xu Zhao (南宋)

 
徐照(じょしょう)(?~1211)、字は道暉(どうき)、または霊暉(れいき)。号は山民(さんみん)。永嘉(浙江省温州)の人。四霊の一。生涯仕官せず、湖南、江西、江蘇、四川等の各地を吟遊し、後に帰郷した。『芳蘭軒(ほうらんけん)集』がある。
 

  柳葉詞  柳葉詞(りゅうようし)  

嫩葉吹風不自持  嫩葉(どんよう) 風に吹かれて (みずか)ら持せず
浅黄微緑映清池  浅黄(せんこう) 微緑(びりょく) 清池(せいち)に映ず
玉人未識分離恨  玉人(ぎょくじん) (いま)だ分離の(うら)みを()らざるに
折向堂前学画眉  堂前(どうぜん)に折りて 眉を(えが)くを学ぶ

〔詩形〕七言絶句 〔韻字〕持、池、眉(上平声・支韻)


○嫩葉 柔らかくみずみずしい葉。
○不自持 自分で自分を支えられない。ヤナギの葉が風に吹かれて、たよりなく揺れ動いていることを表す。
○浅黄、微緑 あさい黄色、かすかな緑。風に吹かれて揺れ動く柳の葉の、表と裏の微妙な色合いの違いを表現したもの。
○映清池 澄んだ池の水に影を落としている。
○玉人 玉のように美しい人。美人の形容。
○未識 まだ知らない。経験していない。
○分離恨 愛する人との別れの恨み。

○向 「於」に同じ。~で。平仄の関係で文字を置き換えたもの。


  《柳の葉のうたの歌詞》

柔らかくみずみずしいヤナギの葉が風に吹かれ、自分で自分の重みを支えられないかのように揺れている。
ヤナギの葉のうすい黄色とかすかな緑色が、澄んだ池の水に映っている。
玉のような美しい人は、まだつらい別れの恨みを知っているわけでもないのに、
屋敷の前でヤナギの枝を手折り、それをお手本にして眉を描いている。


 「折楊柳(せつようりゅう)」という楽府題があるように、古来中国には旅立つ人に柳の枝を手折って贈る風習があり、この詩もそれを念頭に書かれています。また「柳眉」という言葉があるように、柳の枝は、美しい曲線を描く女性の眉をも連想させます。この詩は、「別れ」と「眉」という柳が象徴する二つの事柄を手際よくうたい込み、上品な美の小世界を創造しています。